増田陽子のビタミンCブログ

ビタミンCから、分子栄養学や機能性医学、予防医学、アンチエイジングの世界を知りました。ビタミンC療法のメッカであるリオルダンクリニックで勉強中です。勉強したことの記録ですが、読んだもの全てをまとめているわけではなく、勉強になったことを書き出している感じです。

AML化学療法後の患者にビタミンC点滴を行い、白血球、血小板数が改善したという症例報告

この本を読んでいきます。

https://www.mdpi.com/books/pdfview/book/845

antioxidants という雑誌に掲載された、ビタミンCの(主にガンに対する)生理学的な研究が紹介されていますが、論文自体 free access ですが、この本自体もフリーでダウンロードできます。

 

今日はこの論文。

Intravenous Vitamin C Administration Improved Blood Cell Counts and Health-Related Quality of Life of Patient with History of Relapsed Acute Myeloid Leukaemia

 

イントロダクション;

・ビタミンCが白血病の進行をエピジェネティックに抑える論文2つ

動物実験モデルにおいて、ビタミンCが造血幹細胞の分化を増強し、circulating blast cellの数を減らし、白血病の進展を遅らせ生存率をあげる(4,5)

白血病の患者さんはコントロール群に比べて58%ビタミンCが低下している(6.7)

・ケモや造血幹細胞移植でさらにビタミンCの低下が起こりうる(8.9)

⇨このため、ビタミンCの補充は正常の造血幹細胞の機能や分化に、効果があるかも。ということでしてみた症例報告。

 

症例報告; 

47歳 女性 2009年5月 オークランドの病院でAMLの診断

(bone marrow 75% blasts, normal keryotype, NPM+, FLT3+ with allelic ratio 0.01)

DNR/ARA-C寛解導入療法、4サイクル(DA×2MACE×MidAC)を行い(2009 10月終了)、途中、侵襲性肺アスペルギルス症を発症しボリコナゾールで三ヶ月治療、化学療法の1クール毎に好中球減少性の発熱があり、抗生剤で治療された。抗甲状腺抗体+の甲状腺機能低下症も指摘された。

2014年5月まで血液内科に通院、寛解とされていたが、2014年8月に好中球減少で熱発し、骨髄検査で再発と診断された。

化学療法、骨髄移植を勧められたが、化学療法のみ行うことを希望し、2014年8月末にケモを開始、2014年10月に完全寛解となった。その後の化学療法はなし。

 

2014年10月にオークランド統合医療のクリニックを初診

初診時のHb 93g/L, 血小板 27×109/L 

 

2014年11月7日から1回70g、週2回でビタミンC点滴を開始。

初回のIV前のビタミンC値は0.66mg/dL(37.5μmol/L)

血中濃度350~400mg/dLを目標に65gになったりもしている。

 

アルファリポ酸:600mg、アスコルビン酸ナトリウム:2g、活性型ビタミンB複合体:1g、ビタミンD:5000IU、ビタミンK1:1500mcg、ビタミンK2-MK4:1000mcg、ビタミンK2-MK7:200mcg も開始。

 

その後の血液検査の推移

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2014/11/7  Hb 107g/L, 血小板 25×109/L, WBC 0.29×109/L

2014/12/19   Hb 111g/L, 血小板 196×109/L, WBC 4×109/L

2017/9/7       Hb 124g/L, 血小板 227×109/L, WBC 6.5×109/L

 

QOLのスコアは上がり、症状のスコアは下がった(EORTC QLQ-C30)

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2014/10/10 QOLスコア 58.3、症状スコア 38.5

2014/12/17 83.3、7.7

 

2015/8月まで70g 週2回で続け、患者の体調が良いと感じる時には週1回にしたりして、2017/9/21までに141回の点滴を受けた。

現在は月1回の点滴とサプリメントを継続している。 

 

Discussion;

・高濃度ビタミンC点滴は多くの化学療法後の患者さんに求められている(19)

・IVCは内服の20倍の血中濃度になる(20)

・ IV投与は腫瘍へのビタミンCの拡散を促進するために必要になりうる(22.23)

・現在のところ固形ガンへのビタミンCのエビデンスは限定的で、エピジェネティックな感受性の高い、血液腫瘍への効果が高い(4.5)。

・ビタミンCはAML患者に変異がみられる腫瘍抑制遺伝子酵素?(TETs)の活性をあげる(24,25)

 

・この患者はTETに変異があるか評価されていないが、転移がある場合、特にビタミンCが効果がある可能性がある。

・またこの患者は健康的な食事(菜食)、ヨガ、瞑想、ハーブ療法(mistletoeなど)も取り入れていた。(ビタミンCのみの効果とは言えない)