増田陽子のビタミンCブログ

ビタミンCから、分子栄養学や機能性医学、予防医学、アンチエイジングの世界を知りました。ビタミンC療法のメッカであるリオルダンクリニックで勉強中です。勉強したことの記録ですが、読んだもの全てをまとめているわけではなく、勉強になったことを書き出している感じです。

ビタミンCによる運動誘発性気管支収縮への効果

https://bmjopen.bmj.com/content/3/6/e002416

 

Vitamin C may alleviate exercise-induced bronchoconstriction: a meta-analysis

Hemila H. Am J Respir Crit Care Med. 2013 Dec 1;188(11):1370.

 

ビタミンCと運動誘発性気管支収縮(EIB)とのメタアナリシスで、ビタミンCの運動誘発性気管支収縮に対する効果について、3つの二重盲検試験をプールしています。

・全体のnは40で、ビタミンC投与量は最低0.5g〜2g/日

・ビタミンCによるEIBの減少効果について、プラセボ群に対するパーセントポイントは8.4%減、相対効果は48%減、という結果でした。

・FEV1の低下レベルには大きなばらつきがあり、どの程度FEV1が低下するかということをここから推定するのは合理的ではなさそうだが、3つの研究ともにFEV1の低下を半減することは一致しており、EIBに悩む人々には有益な結果となっている。

 

Introduction 

・運動誘発性気管支収縮は運動後に1秒量が10%以上低下することを指す。

・一般には10%、アスリートでは50%程度いると言われている。(1)

・病態はよくわかっていないが、水分の低下で炎症性メディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジン)が誘発され(1.2)、呼気中NOの増加も関連していると言われている(3)

・ビタミンCの欠乏はPGF2αを増加させ(4-6)、ビタミンC欠乏モルモットで、ヒスタミンへの気道過敏性が増加した(6)。

・モルモット気管支平滑筋においてビタミンCはPGF2α、ヒスタミン、カルバコリンによって起こる収縮を減少させた(4.7.8)

・ヒトでは1日1.5gのビタミンC投与で、LTC4―LTE4、PGD2(気管支収縮効果あり)の上昇を防ぎ、呼気中のNOの増加を防いだ(11)。

・ビタミンCは身体的ストレスのある人の風邪の発生率を下げ(14.15)、上/下気道感染の重症度を下げる(15-17)

・以前に行われた体系的なレビューでは、データ抽出と分析にかなりの誤りがあった(18)

 

Methods

・ランダム化もnonランダムもシステマティックレビューには含めるが、重症度に関しては二重盲検試験のみ。

 (・論文で公開されていない生データも著者に問い合わせて、計算し直している。)

 

Results

・図1:運動誘発性のFEV1低下に対するビタミンCの効果のパーセンテージポイント。水平線はそれぞれの研究の95%信頼区間、菱形はプールされた値の95%信頼区間

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・図2:SchachterとSchlesingerの研究ではビタミンCによるFEV1の低下が減少した。縦軸はビタミンCとプラセボ間のFEV1の減少の差、横軸はプラセボ日のFEV1の減少、点線はプラセボとビタミンCが同一であるラインを示す

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・図3:Cohenらの研究でもFEV1の低下を減少させた。横軸、縦軸は図2と同じ。白四角は「ビタミンCの効果なしとされた9人のデータ、黒四角は他の11人のデータ」

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・図4:運動誘発性のFEV1低下に対するビタミンCの相対効果。水平線はそれぞれの研究の95%信頼区間、菱形はプールされた値の95%信頼区間

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Discussion

・3つの研究からビタミンCはプラセボに比べ8.4パーセントポイントEIBを減らすことが示されたが、どの程度FEV1が低下するかについては、各研究間で大きな差がある。このため、この値を推定値に用いることは難しい。しかし3つの研究いずれも、ビタミンCの投与でFEV1の低下が半減することを示している。