増田陽子のビタミンCブログ

ビタミンCから、分子栄養学や機能性医学、予防医学、アンチエイジングの世界を知りました。ビタミンC療法のメッカであるリオルダンクリニックで勉強中です。勉強したことの記録ですが、読んだもの全てをまとめているわけではなく、勉強になったことを書き出している感じです。

カテコラミンやバゾプレシンの生成に、ビタミンCが非常に重要である、というレビュー

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4661979/

Ascorbate-dependent vasopressor synthesis: a rationale for vitamin C administration in severe sepsis and septic shock?

Anitra C. Carr et al. Critical Care (2015) 19:418

 

2017年にSeptic shockにビタミンC投与したら死亡率が40%から8%に減った、という論文がChestに載って話題になりましたが、

それ以前(2015)の重症敗血症になぜビタミンCがよく効くかというレビューです。

カテコラミンやバゾプレシンの生成に、ビタミンCが非常に重要であることが説明されています。

 

著者は昨日紹介した本の編集者であり著者でもある、ニュージーランドのAnitra C Carr先生です。

 

アブストラク

Septic shockになると補液、ノルエピネフリンが投与される。バゾプレシンも血圧をあげるため、ノルエピネフリン投与量を減らすため投与される。

内因性のノルエピネフリンやバゾプレしんは銅含有酵素である、ドパミンβヒドロキシラーゼとペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼで作られる。どちらの酵素も正常な活性を得るためビタミンCが必要である。高容量のビタミンC投与で炎症誘発性のバイオマーカーや臓器の機能低下が減少し、血行動態が改善することがわかっている。

 

イントロダクション

・Septic shock の最近の死亡率は30~50%(5)

・Septic shock に対するバゾプレシンとノルエピネフリンのトライアルは死亡率同じだった(10)

 

敗血症へのビタミンCの必要性

・ビタミンCは抗酸化物質であるだけでなく、多くの酵素の補因子である(15.16)

・重症呼吸器感染症、敗血症では特にビタミンC値が低く(12,24,25)、100-500mg/日の投与でも低かったり(27.28)、通常の血中濃度にするのに3000mg/日必要だったという報告もある(27)

・動物では、ストレスにさらされるとビタミンCの合成が増加する(29.30)

・ビタミンC合成酵素のグロノラクトンオキシダーゼのmRNAの反応性の発現増加も観察されている(リポポリサッカライド暴露マウス)

・腫瘍マウスでも反応性のビタミンC合成が確認されている(31)

・鎮静剤、鎮痛剤、筋弛緩剤でもビタミンC合成が増加するという報告もある(32.33)

・Alpha A Fowler 先生のPhaseⅠの論文で、公開されていないデータではあるが、200mg/kg/dのアスコルビン酸を投与された群では、収縮期血圧および平均動脈圧の増加を示した(12)

 

昇圧剤合成に関するビタミンCの役割

・カテコラミン系の神経伝達物質やホルモン(ドパミン、ノルエピネフリンエピネフリン)は交感神経系および、副腎髄質で合成される。脳や副腎はビタミンCの濃度が高い(53)。

・ビタミンCもストレスに反応して副腎より分泌される(47)。

・ビタミンCはドパミンをノルエピネフリンに変換する銅含有酵素であるドパミンハイドロキシラーゼの補因子として働く(50)。

・LチロシンをLドーパに変換する鉄含有酵素であるチロシンハイドロキシラーゼの補因子であるBH4(テトラハイドロビオプテリン)の再利用に関連する。またチロシンハイドロキシラーゼ自体の合成促進にも関連すると示唆されている(50)。

・α/βアドレナリン作用性受容体に結合し、エピネフリンの活動を促進する(51.52)。

・ビタミンC欠乏マウスでも脳内のビタミンCレベルは保持されている(54-56)

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ビタミンCとバゾプレシンの合成

・バゾプレシンの受容体の一つ、V1b受容体は下垂体前葉にあり、CRHによるACTH分泌を増強する。それがストレスへの反応としてコルチコステロイドが副腎皮質から分泌される(11)。

・敗血症性ショックの早期では循環バゾプレシンの値が高くなっているが、後期では著名に低下している(58.59)。これはバゾプレシンの下垂体貯蔵が低下していることと、合成が低下していることが原因である(60)。

アスコルビン酸はバゾプレシンの合成酵素であるペプチジルグリシンαアミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)の補酵素である。

・下垂体はPAMがとても豊富な部位であるが、ビタミンC濃度がもっとも高い部分でもある(53)。

・敗血症などビタミンCが低下する状態ではPAMの低下が起こると考えられる(58-60)

・動物では、中枢へビタミンCの投与で、循環バゾプレシン値が上昇し、抗利尿効果が認められた(62)

・カルボキシ基を持つアミド化バゾプレシンが活性型(63)

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