増田陽子のビタミンCブログ

ビタミンCから、分子栄養学や機能性医学、予防医学、アンチエイジングの世界を知りました。ビタミンC療法のメッカであるリオルダンクリニックで勉強中です。勉強したことの記録ですが、読んだもの全てをまとめているわけではなく、勉強になったことを書き出している感じです。

ビタミンCと免疫についてのレビュー③

https://www.mdpi.com/2072-6643/9/11/1211

 

Vitamin C and Immune Function

Anitra C. Carr Nutrients 2017, 9(11), 1211;

 

ビタミンCと免疫機能に関するレビュー、長いので3日目です。今日で最後です。

それにしてもさすがAnitra Carr先生、という感じで読み応えのあるレビューです。

そして重症感染症には、やはりてきめんです。

 

 

炎症性メディエーター

・ビタミンCと培養された末梢血リンパ球は、炎症誘発性サイトカインTNF-αおよびIFN-γのリポ多糖(LPS)誘導性発生を減少させた。また、IL-1βレベルに影響を及ぼさずに、抗炎症性IL-10産生を増加させた(77)。

・肺炎患者から単離した末梢単核球へのビタミンC添加で、炎症誘発性サイトカインTNF-αおよびIL-6の産生が減少した(86)。

・インビトロで、単球にビタミンC/ビタミンE添加で、TNF-α生成が増強された(87)。

・また健康なヒトボランティアに対する1g /日のビタミンC投与で、LPSによる刺激による末梢血単核球由来のIL-10、IL-1およびTNF-αが増強した(87,94)。

・したがって、サイトカイン生成に対するビタミンCの効果は、細胞の種類や炎症性の状態によるようである。

 

・骨髄由来のマクロファージであるミクログリアにビタミンC処理をすることで、細胞の活性および炎症性サイトカインであるTNF、IL-6、IL-1βの合成が減少した(90)。

 

・インフルエンザウイルスに感染したビタミンC欠損Guloノックアウトマウスの肺において、炎症性サイトカインTNF-α、IL-1α/βの合成が促進し、抗ウィルス性サイトカインであるIFN-α/βの産生が減少した(88) 。

・多菌性腹膜炎のGuloマウスへのビタミンCの投与は、単離した好中球による炎症性サイトカインTNF-αおよびIL-1βの合成を減少させた(75)。

・200mg / kgの非経口ビタミンCを投与した敗血症Guloマウスでは、TregsによるTGF-βおよびIL-10の分泌が低下した(89)。この研究ではIL-4分泌低下とIFN-γ分泌亢進も認められた。

 

 ・動物モデルでは、ビタミンCの枯渇がヒスタミン濃度の上昇と関連し、ビタミンCの投与でヒスタミン濃度が低下した(56,95-98)。

・ヒトでも経口ビタミンC(125mg /日~2g /日)および静脈内ビタミンC(7.5g)投与で、ヒスタミンレベルの低下が報告されており(61,99-101)、これは感染のあるアレルギー患者ではより著明だった(101)

ヒスタミンに対するインビボでのメカニズムは不明である。

 

 

ビタミンC欠乏状態

・抗酸化作用があるビタミンCは、様々な原因(汚染物質、重金属、農薬、生体異物)にから肺細胞を保護した(204,209)。 

 

・喫煙者、受動喫煙者ともに、非喫煙者より血漿および白血球のビタミンC濃度が低く(10,210,211)、酸化ストレスの増加と、ビタミンC消費率の上昇を認めた(10,211,213)。

・喫煙者のビタミンCの平均血中濃度は、非喫煙者の3分の1低く、喫煙による酸化的損傷を補うためには、追加で35mg /dayのビタミンCの摂取が必要となる(10,14)。

・環境中のタバコの煙に暴露される小児、青年もビタミンC濃度が低かった(214)。

受動喫煙ビタミンC欠損モルモットモデルでは、ビタミンCはタンパク損傷と脂質の過酸化から保護した(213,215)。

受動喫煙者へのビタミンC投与は、酸化ストレスの指標となるF2-イソプロスタン濃度を有意に低下させた(216)。

・たばこにより、細菌およびウイルス感染症に対する感受性が増加した(217,218)。 

 

2型糖尿病では、血漿ビタミンC値の低下が認められており(18,226)、高血糖症による高レベルの酸化ストレスが原因と考えられる(10,227,228)。

・血中ビタミンC濃度と糖尿病、ヘモグロビンA1c濃度(グルコース耐性の指標)、空腹時および食後の血糖、酸化ストレスのリスク間には逆相関する(219,229-232)。

・メタアナリシスでは、ビタミンCの投与により2型糖尿病の血糖コントロールが改善した(233)。

 

 ・ビタミンC濃度が17μモル/ L未満の高齢者(75-82歳)において、強く全死亡率が高い傾向にある(237)。

 

・入院患者は一般に、一般集団よりもビタミンCの状態が低い(244)

 

 

ビタミンCと感染

・肺炎は壊血症の最もメジャーな死因である(7)

・急性呼吸器感染症の患者は、血漿ビタミンC濃度が低下しており(245)、ビタミンCの投与で、血漿ビタミンC値が正常化し、呼吸器症状の重症度が改善される(246)。

・急性肺感染の症例では、静脈内ビタミンC投与により、胸部X線の迅速な改善が認められる(247,248)。これは、好中球のアポトーシスとマクロファージによる貪食が進むことによるものと考えられる(73)。

・敗血症性肺傷害の動物モデルでは、ビタミンC投与により肺胞クリアランスが増加し、気管支肺胞上皮バリア機能が増強、好中球のsequestrationを弱める(74)。

 

 ・風邪についてのメタアナリシスでは、毎日200mg以上のビタミンC摂取で、一般的な風邪の重症度と持続時間を改善し(249)、

・ビタミンC欠乏状態(<45μmol/ L)の人に対するビタミンC補充は、風邪の発生率を減少させた(203)。

・白血球/尿中ビタミンC値の両方がかぜの期間に著しく減少し、改善後正常レベルに戻る(251-254)。

・一般的な風邪に対する1グラム用量のビタミンC投与は、白血球ビタミンCレベルの低下を改善する(251) 

・肺炎で入院中の高齢者でビタミンC値が非常に低いと判断され、ビタミンCを投与した場合、より重症な患者の方がより呼吸症状スコアが改善した(246)。

・肺炎患者に対し、低用量ビタミンC(0.25-0.8g /日)は、ビタミンC投与なしと比較して、入院期間をを19%、高用量群(0.5-1.6g /日)は36%短縮させた。また胸部X線、体温、赤血球沈降速度にも正の効果があった(255)。