増田陽子のビタミンCブログ

ビタミンCから、分子栄養学や機能性医学、予防医学、アンチエイジングの世界を知りました。ビタミンC療法のメッカであるリオルダンクリニックで勉強中です。勉強したことの記録ですが、読んだもの全てをまとめているわけではなく、勉強になったことを書き出している感じです。

IVCの膵癌Ⅲ/Ⅳ期に対するPhaseⅠ/Ⅱ試験、膵癌マウスに対する腫瘍縮小/転移予防効果

https://www.nature.com/articles/s41598-017-17568-8

 

High Dose parenteral Ascorbate Inhibited Pancreatic Cancer Growth and Metastasis: Mechanisms and a Phase 1/2 study 

Kishore Polireddy et al. Scientific Reports 7, Article number: 17188 (2017)

 

昨日の続きです。

マウスのでアスコルビン群が腫瘍縮小効果、転移予防効果があった結果の後、いよいよPhase1/2です。

もちろんこれだけではなんとも言えませんが、OSが15ヶ月って倍(6~7ヶ月から)になってるし、そもそもPFS3ヶ月って、膵癌Ⅲ/Ⅳ期だとすごく良い印象ですよね。3ヶ月後のフォローのCTで変化なかったらびっくりしますもんね。 

 

 

PANC-1腫瘍マウス:

アスコルビン酸群:4g / Kg体重/日の腹腔内(IP)投与、45日間(静脈注射により1.3g / Kg と同等)

・ゲムシタビン群(3日毎、40mg / kg、IP)

・AscとGem併用群  に割付け、画像で腫瘍増大を検討した。

 

・ゲムシタビン群では腫瘍増殖は阻害されなかったが、Asc単独群では、腫瘍の増大は有意に減少された(図4A、B)。

・併用群は対照群とGem単独群と比較して有意な腫瘍増殖阻害を認めたが、Asc単独群と比較して差はなかった。 

・腫瘍重量、転移の数も、アスコルビン酸単独群、併用群はコントロール群に比して優位に少なかった(図4C)。

・ゲムシタビン単独群はいずれも優位な効果を示さず、併用群はアスコルビン酸単独群に対して優位な効果はなかった。 

・またAsc(単独、併用)群において、細胞増殖の指標である増殖細胞核抗原(PCNA)(図4E)、有糸分裂の指標であるH&E染色(図4F)はいずれも有意に減少し、コラーゲン含量は腫瘍間質において大幅に増加した(図4G)。

・コラーゲン遺伝子発現は対照群(P = 0.001および0.00003)と比較して有意に増加。

・ゲムシタビン単独ではコラーゲン遺伝子発現は増加しなかった(P = 0.08)。Gem + Asc群はGem群と比較して有意に増加した(P = 0.05)。

 

 

Phase 1/2:膵癌Stage Ⅲ/Ⅳ

14人の登録被験者のうち12人がPhase1を完了、続いてPhase IIaに登録。週3回IVCと、ゲンシタビンを併用した(表S4)。

・治療期間は69~556日

アスコルビン酸は15gから開始し、血漿アスコルビン酸濃度を約350mg / dLを目標に、50〜125g で投与された。  

 

結果:

・50%(6/12)は1年以上生存し、8.3%(1/12)は診断後2年以上生存した。

・全生存期間中央値(OS)は15.1ヶ月(図5A)。

・無増悪生存期間中央値(PFS)は3か月。

・IVCに起因する有害事象は、グレード1の悪心および喉の渇きでのみだった。

 

1人の患者(#8)はフォルフィリノックス治療で効果が認められず、腫瘍が動脈を噛んでいたため手術適応ではなかったが、IVCとゲムシタビン9サイクル後、腫瘍の縮小が認められ、手術が施行された 。