ビタミンC点滴を補助治療として続けた膠芽腫の1例
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6162462/
The Use of Intravenous Vitamin C as a Supportive Therapy for a Patient with Glioblastoma Multiforme
Nicola Baillie et al. Antioxidants (Basel). 2018 Sep; 7(9): 115.
膠芽腫は、大変予後が悪い(生存期間中央値12ヶ月、3年生存率2%(1.2)腫瘍として知られていますが、そんな膠芽腫の患者さんに対してビタミンC点滴を用いて、QOLだけではなく、良い状態で4年以上経過を見ることができた症例報告です。
膠芽腫ではビタミンC依存性TET2ヒドロキシラーゼのエピジェネティックな調整が認められており(3)、治療成績の向上が期待されている、という背景があります。
症例:
55歳女性
診断初期に、腫瘍縮小術、その後、放射線治療、テモゾロミドによる治療も行っている。
週2-3回ビタミンC点滴と良質な生活を続けた。
初めてIVCを受けたのは化学療法中で、倦怠感、肺炎(抗生剤の点滴治療)、貧血(輸血を必要としていた)の症状があったが、IVC後4週間で活力が戻ってきたこと、歩行距離が長くなったことを実感されている。
QOL(EORTC QOL C30)のモニタリングは3ヶ月、12ヶ月の時点で行われ、3ヶ月の時点で疲労、呼吸困難、不眠、食欲不振、下痢などの臨床症状は改善した。
(化学療法期間中であるにも関わらず)
評価項目 |
IVC前 |
3ヶ月後 |
12ヶ月後 |
症状スケール |
|||
100 |
0 |
0 |
|
吐き気 |
0 |
0 |
0 |
痛み |
0 |
0 |
0 |
呼吸困難 |
100 |
0 |
0 |
不眠 |
100 |
0 |
0 |
食欲不振 |
100 |
0 |
0 |
便秘 |
0 |
0 |
0 |
下痢 |
67 |
0 |
0 |
機能スケール |
|||
身体機能 |
27 |
100 |
100 |
役割的機能 |
0 |
100 |
100 |
感情の機能 |
100 |
100 |
100 |
認知機能 |
100 |
100 |
100 |
社会的機能 |
100 |
100 |
100 |
総合健康状態 |
0 |
100 |
83 |
初回の血漿ビタミンC値は1.2mg / dL(68μmol/ L)
(診療所に来る前に1グラムのビタミンCサプリメントを摂取していた。)
最初の6ヶ月間は週に3回、その後は3年以上にわたって週2回、85g 投与し、
最初の4ヶ月間の輸液後の平均血漿ビタミンC濃度は393mg / dL(22mmol / L)であった。
もちろんこの患者さんの治療成績が全てIVCによるものとは言えないが、TET2ヒドロキシラーゼ変異が膠芽腫で認められ、ヒドロキシメチルシトシンの低下によって膠芽腫の生存期間が短縮している(3.4)ため、ビタミンCを治療に加える効果がある可能性がある。
3. Garcia M.G., Carella A., Urdinguio R.G., Bayon G.F., Lopez V., Tejedor J.R., Sierra M.I., Garcia-Torano E., Santamarina P., Perez R.F., et al. Epigenetic dysregulation of TET2 in human glioblastoma. Oncotarget. 2018;9:25922–25934. doi: 10.18632/oncotarget.25406.[PMC free article] [PubMed] [CrossRef]
4. Orr B.A., Haffner M.C., Nelson W.G., Yegnasubramanian S., Eberhart C.G. Decreased 5-hydroxymethylcytosine is associated with neural progenitor phenotype in normal brain and shorter survival in malignant glioma. PLoS ONE. 2012;7:e41036 doi: 10.1371/journal.pone.0041036. [PMC free article] [PubMed] [CrossRef]