増田陽子のビタミンCブログ

ビタミンCから、分子栄養学や機能性医学、予防医学、アンチエイジングの世界を知りました。ビタミンC療法のメッカであるリオルダンクリニックで勉強中です。勉強したことの記録ですが、読んだもの全てをまとめているわけではなく、勉強になったことを書き出している感じです。

ビタミンCの生理学的特徴②

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/odi.12446

 

Vitamin C: the known and the unknown and Goldilocks

SJ Padayatty.  Oral Diseases (2016) 22, 463-493 doi: 10. 111/odi. 12446

 

昨日の続きです。今日はビタミンCの細胞への取り込みと、ビタミンCの血中濃度などについてです。

 

 ・ビタミンCは、ナトリウム依存型ビタミンCトランスポーター(SVCT)1および2で細胞内に取り込まれる。

・SVCT1は腸管、腎尿細管、そして肝臓に存在し、ビタミンCを吸収する。SVCT1ノックアウトマウスは、糸球体でビタミンCを吸収できない(Corpe et al、2010)

・SVCT2は身体中に広く分布しており、ビタミンCの主要な輸送体である。その理由は、SVCT2ノックアウトマウスは出生時に死亡し、胎児組織は全ての組織で非常に低いビタミンC濃度を示す(Sotiriou et al、2002)ためである。

・マウスなどのビタミンC合成動物でも、初期の胎児はビタミンC合成できず、母親からの胎盤輸送(胎盤のSVCT2)に頼っている。胎盤ビタミンC輸送は、母体側より胎児側の方がビタミンC濃度が高く維持される(母体血よりも臍帯血の方が高い)。

 

 

  アスコルベートリサイクル

・細胞外でのビタミンCからDHAへの酸化→DHA輸送→細胞内での即時的なビタミンCへの還元のプロセス(Washko et al、1993)

 

 

 酸化アスコルビン酸DHA

DHAGLUTによって輸送される(Corpeら、2013年; Rumseyら、1997年、2000a; Veraら、1993)

・前駆赤血球細胞にはSVCT2トランスポーターがあるが、成熟の過程で失われるため、DHA輸送は赤血球の唯一のビタミンCトランスポーターである。

・赤血球のビタミンC濃度は血漿中よりわずかに低い(Evansら、1982年;Jacobら、1987年;Liら、2012年)

・24時間保存されたヒト全血と、赤血球を分離した血漿サンプルでは、全血の方がビタミンCが安定しており(Dhariwal et al, 1991b)、RBCのビタミンCは血漿中のアスコルビン酸ラジカルを維持するためであると考えられる。

高血糖ではin vitroおよびin vivoで、赤血球へのビタミンC輸送が阻害される(Tu et al、2015)。 

 

・現在、DHAを正確に測定する直接的な方法はない。(アスコルビン酸を測定し、次いでサンプルが減少した後にアスコルビン酸を再測定することで差を計算している。)

  

・ビタミンCは、細胞内から、胃液、脳脊髄液、房水に分泌され、これらは血漿中よりも高いビタミンC濃度となっているが、ビタミンCの細胞内から細胞外への排出トランスポーターは同定されていない(Eck et al、2013)。

 

  ビタミンC濃度

・2003年から2004年の米国7277人の調査(6歳以上)

(Schleicherら、2009年; Chenら、2006年; Tuら、2015年)

  • 平均血漿中ビタミンC濃度は男性で48μM、女性で54.8μM。
  • 男性の8.2%および女性の6%で11.4μM未満(壊血症レベル)
  • これらは、男性の喫煙者の18%、非喫煙者の5.3%、女性の喫煙者の15.3%および非喫煙者の4.2%であった。 

 

心筋梗塞(Humeら、1972年; Riemersmaら、2000年)、急性膵炎(Bonhamら、1999年; Scottら、1993年)、敗血症(Fowlerら、2014年)、および重症患者(Berger and Oudemans-van Straaten、2015)ではビタミンC濃度が低くなっている。

 

・ビタミンCは腎臓によって排泄されるため、腎不全で蓄積する可能性があり、また血液透析中に透析液中で排泄される(Balckeら、1984年; Claseら、2013年; Handelman、2011年; SullivanおよびEisenstein、1970年)