増田陽子のビタミンCブログ

ビタミンCから、分子栄養学や機能性医学、予防医学、アンチエイジングの世界を知りました。ビタミンC療法のメッカであるリオルダンクリニックで勉強中です。勉強したことの記録ですが、読んだもの全てをまとめているわけではなく、勉強になったことを書き出している感じです。

ビタミンCの生理学的特徴③ 口腔環境とビタミンCなど

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/odi.12446

 

Vitamin C: the known and the unknown and Goldilocks

SJ Padayatty.  Oral Diseases (2016) 22, 463-493 doi: 10. 111/odi. 12446

 

昨日の続きです。今日面白かったのは、ビタミンCの口腔衛生やビタミンCがACTHなどのホルモンに応答して分泌されたりする点でした。

壊血症には口腔内の症状も多いですし、歯周病と心疾患をはじめ様々な疾患との関連が認められていますがそこにビタミンCも絡みそうで、アツい、でも意外と研究が進んでいない領域という印象でした。

 

口腔環境とビタミンC:

・モルモットにおいて、ビタミンC欠乏していても(Hornigら、1972年)、いなくてもなくても(Hornigら、1974年)、標識されたビタミンCが、耳下腺および顎下腺に蓄積され、歯周組織および歯髄に取り込まれることが観察されている。

・ラット耳下腺の腺房細胞の分泌顆粒はミリモル濃度のビタミンCを含み、アミラーゼと共に分泌される(Vonzastrow et al、1984)。

 

・ヒトにおける唾液中ビタミンCは、検出不可能な濃度(Fellerら、1975年)から、血漿濃度に近いかそれより高い濃度までの幅広い結果となっている。

(Anonymous, 1986, Bates et al, 1972; Buduneli et al, 2006; Diab-Ladki et al, 2003; Feller et al, 1975; Gumus et al, 2009; Leggott et al, 1986a,b; Liskmann et al, 2007; Makila, 1968; Makila and Kirveskari, 1969; Moore et al, 1994; Rai et al, 2007, 2011; Saral et al, 2005; Schock et al, 2004; de Sousa et al, 2015; Vaananen et al, 1994)

 

・ビタミンCの摂取で、唾液中のビタミンC濃度は数時間以内に上昇する(Makila and Kirveskari、1969)

 

・唾液中のアスコルビン酸血漿アスコルビン酸濃度が相関すると予想されたが、唾液中のアスコルビン酸濃度は不変であった(Leggott et al, 1986b)。

(サンプル処理や分析法が現代とは異なるため、新しい結果が出てくる可能性あり。) 

 

・健康な男性を対象としたビタミンCの枯渇と補充(および再枯渇)をみた試験では、低ビタミンC血症は、歯周病とは関連していなかったが、歯肉の炎症と出血とは関連していた(Leggott et al, 1986a)。

・最近の研究では、SVCT1のSNPと重症歯周炎の間に関連性が発見された(de Jong et al、2014)

 

 

ビタミンCと酸蝕歯:

・経口ビタミンC投与による酸蝕歯の報告(Giunta、1983; Imfeld、1996)

・唾液pHは、チュアブルビタミン錠剤(またはウエハース)投与後、2.5分で7から4.5まで低下した(Hays et al、1992)。

・健康な被験者では、1週間のビタミンC摂取で、口腔洗浄をしなくても歯の変化は認められなかった(Meurman and Murtomaa、1986)

・しかしビタミンCの慢性的な摂取は、歯のエナメル質を侵食する可能性がある。

スクロース含有ビタミンCシロップも、酸蝕歯を引き起こす可能性が示唆されている(Woods、1981)

 

 

好中球:

ヒト好中球が大腸菌、エンテロコッカス・フェカリス、モラクセラ・カタラーリス、クレブシエラ・オキシトカ、アシネトバクター・バウマニ、Cアルビカンス株に曝されると活性化され、周囲の培地からビタミンCが枯渇するまで、急速に蓄積する(Wang et al、1997; Washko et al、1993) 

 

赤血球:

・赤血球は、血漿ビタミンC濃度を安定化しているが、アスコルビン酸による赤血球膜を横切る電子のやり取りに、電子伝達系タンパクが役割を果たしている可能性がある(Mayら、2000年; Suら、2006年; VanDuijnら、2000年)。)

・このタンパクはアスコルビン酸合成動物にはないが、ヒトなどビタミンCを合成できない種に存在する。  

 

副腎:

・ヒトの副腎は、非常にビタミンC濃度が非常に高く、ACTHに反応して数分以内にビタミンCを分泌開始、終了する。これはコルチゾールの分泌に先行する(Padayatty et al、2007)。副腎静脈のビタミンC濃度のピークは血漿濃度の約5倍に達する。

 

・動物の精巣および卵巣では、プロスタグランジンなどのホルモン刺激でもビタミンCが分泌されることが示されている(Guarnacciaら、2000年; Kobaら、1971年; Petroffら、1998年)

  

疲労

・NIHによる枯渇- 補充研究では、血漿中濃度が約20μM未満のときに疲労が生じた(Levine et al、1996b; Padayatty and Levine、2001a)